経営者にとって、集中力や判断力、交渉力は重要な経営資源です。
しかし、それらは頭の使い方だけで維持できるものではありません。
運動不足や慢性的な疲労が続くと、商談後にどっと疲れたり、重要な意思決定を先延ばしにしたりすることもあります。
事業承継やM&A、前向きな廃業を検討する場面では、会社の数字だけでなく、経営者自身が冷静に考え抜ける状態を保つことも大切です。
本記事では、経営者が運動習慣を持つ意味や、筋トレが交渉力・判断力の土台になる理由、今日からできる小さな一歩を解説します。
経営者の集中力は頭だけで保てるものではない
経営者にとって、集中力や判断力は重要な経営資源の一つです。
ところが実際には、集中力は「気合い」や「責任感」だけで維持できるものではありません。
身体の疲労や運動不足が、思考の粘りに影響している可能性もあります。
運動不足になると交渉の粘りが失われていく
交渉力というと、話し方や資料の作り方、条件提示のタイミングなど、テクニック面に目が向きがちです。
もちろん、それらも大切ですが、厳しい交渉の場で最後に問われるのは、相手の反応に一喜一憂せず、落ち着いて席に座り続ける力です。
運動不足が続くと、疲れやすくなり、呼吸も浅くなります。
すると、少し不利な条件を出されたときに焦ったり、早く終わらせたい気持ちから不用意に譲歩したりすることがあります。
これは、知識不足というより、身体の余力が足りない状態ともいえるでしょう。
判断力の低下は気合いではなく身体から始まることがある
経営者は、自分の不調を後回しにしがちです。
多少疲れていても「今は忙しいから仕方ない」「この案件が終われば休める」と考え、身体のサインを見過ごしてしまう方も少なくありません。
しかし、判断力は頭の中だけで完結しているわけではありません。
睡眠不足や運動不足、慢性的な疲労が重なると、物事を大きく捉える余裕がなくなります。
結果として、本来であれば冷静に比較できる選択肢も、目先の負担の少なさだけで選んでしまうことがあります。

運動は脳のアンチエイジングにもつながる
運動は、単に体型維持や生活習慣病予防のためだけに行うものではありません。
経営者にとっては、思考の切れ味を保ち、年齢とともに低下しやすい集中力や判断力を支えるための投資でもあります。
国立長寿医療研究センターも、運動で身体の健康を促すと同時に、脳の活動を活発にする機会を増やす「コグニサイズ」の考え方を紹介しています。
運動と脳の関係は、年齢を重ねても経営判断を担う立場にある方にとって、無視できないテーマです。
参考:認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」|国立長寿医療研究センター
身体を動かすことは思考を鈍らせないための投資
経営者は、以下のような多くの情報に日々接しています。
- 資金繰り
- 人材
- 取引先
- 事業承継
- 税務
- 相続
- M&A
だからこそ、頭を使い続けるだけではなく、身体を動かして思考を切り替える時間が必要です。
確かに、運動をしても、悩みそのものが消えるわけではありません。
しかし、身体を動かすことで視野が少し広がり、同じ課題でも別の角度から見直せることがあります。
机の前で考え続けても進まなかった判断が、歩いた後やトレーニング後に整理される経験を持つ方もいるでしょう。
脳トレだけでなく心拍数を上げる時間を持つことも重要
脳の衰えを防ぐというと、読書や計算、パズルなどの「脳トレ」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、知的な刺激は大切ですが、それだけでなく、心拍数が少し上がる程度に身体を動かす時間も意識したいところです。
国立長寿医療研究センターは、脳の健康を保つには、歩数のような「量」だけでなく、少し息が弾む程度の「やや強めの身体活動」も重要だと紹介しています。
無理に激しい運動をする必要はありませんが、散歩に早歩きを取り入れたり、階段を使ったりするなど、日常の中で心拍数を上げる工夫はできるはずです。
参考:脳の健康を守る運動習慣:歩数だけでなく「強度」にも注目を|国立長寿医療研究センター
筋トレはタフな交渉を乗り切るための基礎訓練にもなる
経営者にとっての交渉力は、言葉の巧みさだけで決まるものではありません。
相手の反応を冷静に受け止める力、不利な条件を提示されてもすぐに動揺しない力、必要な場面で沈黙に耐える力も含まれます。
こうした力は、会議室の中だけで鍛えられるものではなく、日常的に自分の身体へ適度な負荷をかけ、それを乗り越える経験を積むことも、交渉に必要な胆力を育てる一つの方法です。
テストステロンとメンタルの関係
筋トレの効果として、テストステロンという言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
テストステロンは男性ホルモンの一種として知られていますが、性別を問わず身体の活力や意欲、筋肉量などに関係するホルモンです。
もちろん、「筋トレをすれば必ず交渉に強くなる」と単純に言い切ることはできません。
ホルモンの働きは複雑であり、個人差もあります。
ただ、筋トレを継続することで、身体の変化を感じたり、以前より疲れにくくなったり、自分の状態を前向きに捉えやすくなったりする方は多いでしょう。
筋トレに向き合う時間が交渉の胆力を育てる
筋トレの本質は、単に重いものを持ち上げることではなく、もう少し続けたい気持ちと、もうやめたい気持ちの間で、自分と向き合うことにあります。
例えば、スクワットやレッグプレスをしていると、最後の数回で身体がきつくなります。
そのとき、「あと1回」と踏みとどまる経験は、自分の限界を少しずつ広げてくれます。
交渉でも同じです。
相手から想定外の条件を出されたとき、すぐに引くのではなく一度持ち帰るなどといった粘りは、頭で理解しているだけではなかなか身につきません。
週3回のジム通いを経営予定と同じ優先順位に置く
運動習慣をつくる上で大切なのは、気分に任せないことです。
忙しい経営者ほど、運動を「時間が余ったらやること」にしてしまいがちです。
しかし、本当に運動を経営者の基礎体力づくりと考えるなら、ジムに行く予定も経営予定の一つとして扱う必要があります。
「時間ができたら行く」では、運動習慣は続かない
「時間ができたらジムに行く」と考えていると、多くの場合、その時間はできません。
経営者の予定には、以下のように様々な用件が日々入ります。
- 役員や従業員の急な相談
- 取引先対応
- 社内の確認事項
- 家族の予定
そのため、運動は先に予定表へ入れておくことが重要です。
会議を入れるように、ジムに行く時間を確保しておきましょう。
週1〜2回から週3回へ上げることの重要性
すでに週1〜2回ジムに通っている方であれば、次の目標として週3回を検討してもよいでしょう。
週1回でも何もしないよりは大きな前進です。
ただ、習慣として身体に定着させるには、頻度を少し上げることが効果的です。
週3回になると、運動が「特別なイベント」ではなく「生活の一部」になりやすくなります。
曜日で固定すると迷いが減りますし、毎回長時間である必要はありません。
30分でも、身体を動かす時間が定期的にあること自体に意味があるにゃん。
スケジュールに入れることは自分の未来を予約すること
経営者は、会社の未来のために多くの予定を入れています。
ジムに行く予定も、それと同じであり、今の身体を整えることは、数年後の判断力を守ることにつながります。
スケジュールに運動を入れることは、単に健康のための行動ではありません。
将来、自分の意思で会社の出口を選ぶために、自分の未来を予約する行為です。
週3回のジム通いは、そのための小さくも確かな経営判断といえるでしょう。
今日の一歩:業務前にスクワットを10回やり心拍数を上げる
運動習慣が大切だとわかっていても、いきなりジムに入会し、週3回通うとなるとハードルが高いものです。
特に、経営者は、朝から予定が詰まっていたり、急な連絡に対応したりと、自分の身体のための時間を後回しにしがちです。
そこで、まずおすすめしたいのが、業務前にスクワットを10回行うことです。
スクワットであれば、特別な道具も、広い場所も必要なく、数十秒から1分程度で終わります。
それでも、軽く心拍数が上がり、身体が仕事モードに切り替わる感覚を得やすくなるでしょう。
経営者の運動習慣についてよくある質問
最後に、経営者の運動習慣についてよくある質問を回答と共に紹介していきます。
- 経営者が筋トレをするのはなぜですか?
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経営者が筋トレをする理由は、体型維持や健康管理だけではありません。
集中力、判断力、交渉時の粘りを保つための基礎づくりとしても意味があります。 - ランニングや筋トレを続けるコツは何ですか?
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ランニングや筋トレを続けるコツは、最初から完璧を目指さないことです。
いきなり毎日走る、週3回ジムに通うと決めても、忙しい経営者にとっては続かない場合があります。まずは、業務前のスクワット10回、昼休みの散歩、階段を使うなど、日常の中に小さく組み込める運動から始めるとよいでしょう。
まとめ
経営者の運動習慣は、単なる健康管理ではありません。
集中力を保ち、交渉の場で粘り、重要な局面で冷静に判断するための土台づくりです。
筋トレや有酸素運動は、身体に適度な負荷をかけることで、自分の状態を整え、思考の停滞を動かすきっかけにもなります。
いきなり週3回ジムに通う必要はないので、まずは業務前にスクワットを10回行うところから始めてみましょう。
小さな約束を自分で決めて実行する経験は、やがて会社の出口や自分の未来を選ぶ大きな決断にもつながります。
経営者こそ、運動を未来への投資として予定に組み込んでみてください。



