破産とは、破産者の過去の債務を一掃し、破産者が経済的に再起することができるように作られた制度です。したがって、個人破産の場合、破産手続きが終了し、裁判所から免責決定を得れば、法律上の制約はありません。ただし、破産するとカード会社に信用情報として破産したことが登録されてしまうので、今後クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることは難しくなります。
しかし、世間には破産についていろいろな誤解があるようです。
破産しても選挙権は制限されない
破産したことによって、選挙権が制限されるのでしょうか?答え場ノーです。選挙権は憲法上認められた基本的人権です。自己破産をしても選挙権や被選挙権などの公民権を失うことはありません。
破産したことは戸籍にも住民票にも記載されない
破産すると戸籍や住民票に記載されるのではないかという誤解があります。平成17年に破産法が改正される前までは、破産者個人の本籍地となっている市区町村役場が管理している名簿に破産者の氏名が載せられることとなっていました。しかし、破産法改正後には、このような運用はなくなりました。
破産したことは職場には通知されない
職場に破産したことが知られるのではないかという心配はあるでしょう。しかし、裁判所などから職場に通知が行くことは一切ありません。破産したことが公になるのは官報に氏名住所が掲載されることのみです。官報への掲載は避けられません。しかし官報は官公庁や金融機関のような特殊な機関のみに購読されており、一般の人が細かく読むものではないため、ここから公になることはまずないでしょう。
官報に掲載された破産情報は、信用情報機関や金融機関などのデータベースに登録されることがあります。しかしこれらのデータベースは、個人の信用情報を管理するために使用されます。破産手続きを行った個人は、しばらくの間、信用情報に悪影響を与える可能性がありますが、それも一般の人が参照できるものではりません。
個人の破産は家族への影響はない
個人が破産した場合に、妻や子供といった家族に影響はるのでしょうか。例えば、家族がクレジットカードを作れなかったリローンを組めなくなる、または子供の進学や結婚に影響はあるのでしょうか。これも誤解で、家族への影響はありません。破産は原則として、申立てをした本人のみに適用されるもので、その影響が妻や子供などの家族に及ぶことはありません。官報に掲載される情報は本人のみのものです。
間接的には影響がある場合があります。自宅の差し押さえを受けたり、給料や銀行の口座が差し押さえられたりした場合は、家族の生活に影響が及ぶでしょう。
破産は個人の再建を支援するためのもの
破産は借金の返済ができない人に与えられる懲罰ではありません。破産とは、破産者の過去の債務を一掃し、破産者が経済的に再起することができるための制度です。生活の再建を支援するためのものです。普段の生活が制限されるような不都合はないように作られています。「パスポートが受給されない」「マイナンバーに載る」「年金がもらえない」なんてことはありません。正しい知識を持って、破産と向き合いたいものです。