【例文付き】廃業時の手続きに必要な解散公告とは

会社を廃業させるときに必要な手続きの一つに解散公告があります。法人の解散公告とは、法人が解散する際に、その事実を一般に知らせるための公示手続きです。この公告は、法人が解散したことを関係各方面、特に債権者や取引先、その他の関係者に通知する重要な手続きとされています。

当記事では、法人の解散公告の内容や手続き、そして解散公告の文例を説明します。

目次

解散公告とは

会社を廃業させるとき、廃業する会社は官報に解散の旨を掲載する必要があります。これを解散公告と呼び、必須の手続きとなっています。会社解散の際に行う官報公告(解散公告)は、前述したように債権者や取引先、そのた関係者に広く解散の旨を通知する目的のものです。

会社は「法人」であり、その会社自体が資産や負債を持っています。会社をたたむ時にはその会社の保有する資産や負債を清算する手続きが必要です。会社として「終活を開始しますよ」と宣言するものが解散公告となります。会社は債権者に対して『2か月以上の期間内にその債権を申し出るべき旨』を官報に公告しなければならないとされています(会社法第499条第1項)。

解散公告には債権者保護の側面があります。会社に対して貸付金や売掛金などの債権がある人に対して、その債権を回収する機会を提供するためのものです。会社を廃業させる(消滅させる)前に債権者に申し出てもらい、会社が債務を弁済する機会を設けるために、官報公告が義務付けられているのです。

それでも債権者は気づかないこともあります。そのため、会社解散時の債権者保護手続きとして、官報公告のほかに、わかっている債権者には個別に知らせる必要もあります。会社が把握している債権者に対しては、会社が解散した旨を直接知らせることもまた義務付けられています。

そして、各種の資産や負債を清算する手続きが完了することを清算結了といいます。この「清算結了」によって会社の法人格が消滅するしくみになっており、解散公告は清算に向かう前の、「関係者への解散宣言」といえるでしょう。

解散公告をしなかった場合にはどうなるか

法人を廃業させるにあたって、解散公告をしなかった場合にはどうなるのでしょうか。

実は、解散から2か月たつと、清算結了自体はできてしまいます。しかし、官報公告は会社法で定められているため、官報公告をしなかった場合には罰則があります。

会社法では、「この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき」(第976条第2号)には100万円以下の過料に処せられるとされています。これは債権者がいない場合も同様なので注意が必要です。

実際の解散公告の内容を、株式会社と合同会社それぞれの例文を以下に記載します。

株式会社の解散公告文例

日付は官報への掲載日としましょう。清算人の肩書は「代表清算人」とするのが一般的です。

解散公告

当社は、令和●●年●●月●●●日開催の株主総会の決議により解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から二箇月以内にお申し出下さい。

なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。

令和●●年●●月●●●日
東京都港区芝●丁目●番●号
●●●株式会社 代表清算人 ●● ●●

合同会社の解散公告文例

決議の理由は、合同会社の性質から「総社員の同意により解散」と記載します。この点が株式会社との違いです。日付は株式会社と同様、官報への掲載日としましょう。

解散公告

当社は、令和●●年●●月●●●日総社員の同意により解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から二箇月以内にお申し出下さい。

なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。

令和●●年●●月●●●日
東京都港区芝●丁目●番●号
●●●合同会社 代表清算人 ●● ●●

解散公告は債権者保護のために決められた手続きである

このように、法人を清算する際には、債権者保護のために決められた手続きである解散公告が必須です。会社解散の際の官報公告では、債権の申し出のため2か月以上の期間を必ず定めることになります。きれいに廃業するためにも、解散公告および債権者への個別連絡によって、債務を綺麗にする手続きを取っていきましょう。この時の関係者の人たちが、次のキャリアでまたお世話になることもあるかもしれません。

 エマニャン

円満廃業ドットコム 編集部のアバター

円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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