廃業と破産の違いと、債務超過時の廃業

円満廃業ドットコム:廃業と破産の違いと、債務超過時の廃業

今や日本には大廃業時代が到来しています。全国にある中小企業380万社のうち毎年5万社が消滅していると言われます。それも無理もない話で、中小企業庁の発表によると6割以上の経営者が60歳以上であり、そのボリュームゾーンである団塊の世代が大量に引退へと駒を進めていこうとしているのです。

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廃業と破産の違いは債務にある

会社をたたむにあたって、「これは廃業なのか、破産なのか」と考えることがあるかもしれません。廃業と破産の違いを考えてみましょう。いまやめようと考えている事業を整理した場合、債務が残らない場合は廃業です。銀行口座に残っている金額や、機材・土地の売却などによって、従業員の給料や税金・社会保険料を含むすべての債務を支払って、会社を消滅させることができれば廃業です。つまり、これから収益がなくなる中で、債務を0にできる終わり方は廃業。債務が残るなら破産という選択肢になります。なお、会社の「破産」は「倒産」と同義です。

廃業は主体的にやるもの

廃業は事業主が考え抜いて実行に移すものです。債務を支払えない場合にやることではありません。理由として多いケースは、事業の将来性に対しての不安や、経営者の高齢化および後継者不在による事業承継問題があります。「きちんと後始末をする」という点では経営者の最後の仕事と言ってもよいでしょう。

日本には廃業を過剰に毛嫌いする風潮があります。黒字の状態で廃業するのは決して悪いことではありません。むしろ黒字のうちに廃業し、債務超過になる前に手を打つという考えのほうが合理的でもあります。事業承継や第三者への売却も方法としてありますが、その可能性がない場合は前向きな廃業もあります。廃業も一つの選択肢と考えたほうが事業主の幸せに繋がることも多いと考えましょう。

債務超過でも廃業はできるのか

会社が保持する財産をどう処分しても債務を弁済することができない場合は、本当に廃業できないのでしょうか。このような債務超過の場合でも、任意整理という方法はありますが、簡単ではありません。債権者と交渉しながら、債権の支払い期間・方法を詰めていきます。弁護士とともにやることになるでしょう。ただし、経営者の個人の財産を売却し、それを会社の債務弁済に充てるように求められることも多々あるので要注意です。

また、各債権の種類の優劣関係にそって売却代金を債権者に配当する方法があります。この場合も債権者は投資したお金が減額されて戻ることになるため、タフな交渉を求められます。破産手続きとは異なり、裁判所が介入しないため、のちに官報を調べられても実質破産したという履歴が残らないというメリットはあります。この方法も非常に難易度が高いことは念頭に置いておきましょう。経営者(事業主)の神経が磨り減ることは覚悟しましょう。

自らの意思で事業をやめられるうちに円満廃業を

廃業は自らの意思によって事業をやめ、債務もない状態とすることです。債務を支払えなくなり、事業をやめざるを得なくなった場合は倒産です。自らの意思で事業をたためるうちに、きれいに清算し、家族や取引先へ迷惑をかけずに円満に廃業できるように考えておきましょう。

 エマニャン

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円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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