製造業が廃業時に中古機械を売却するときの注意点

製造業が廃業時に中古機械を売却するときの注意点

廃業する場合は、全ての資産を換金または廃棄処分する必要があります。特に製造業などは、多数の機械を保有しており、できるだけ高値で現金化したいと考えるでしょう。しかし、中古の機械は自分が期待したほどの価格がつかないこともあります。どのような機械が価格がつき、どのような機械が売却が難しいのか、製造業の会社が中古機械を売却する際の注意点を考えてみましょう。

目次

機種や種類・状態を丁寧に確認する

製造業が工場で利用する機械の機種については、売却する機械がどのような機能を持っているかを明確にする必要があります。例えば、機械の加工範囲や生産能力、使われた時間や修理履歴などが挙げられます。売却した先の購入者が必要とする機能に合わせて機械を調整することができる場合は、その旨を明記すると買い取ってもらえる可能性が上がるでしょう。

機械のメーカーも大事なポイントです。一流メーカーの機械は、そのブランド力の高さだけでなく、部品の供給体制がしっかりしているため、部品を交換することでその寿命を延ばすことができます。同様に一流メーカーのアフターサービスを利用することができるため、中古機械の値が付きやすい傾向にあります。

次に種類について考えてみます。製造業界には様々な種類の機械が存在します。例えば、旋盤やフライス盤、射出成型機などがあります。売却する機械の種類によっては、購入者が求める市場が限られることがあるため、市場調査をしましょう。専門業者に依頼する前に少しでもこちらが情報を持っておくと、査定価格の妥当性がわかるかもしれません。つまり、中古機械そのものの需要があるかどうかを確認することが重要です。

なお、購入後のメンテナンス負担が大きい機械は、中古マーケットでの需要が高くないという実情があります。例えば放電加工機は、電極やろう付け部分の清掃・交換、放電加工オイルの定期的な交換、機械のレベリング・保守点検など、メンテナンスの項目が多く、中古マーケットで高値が付くことはあまりありません。

回転する砥石によって材料を研削する研削盤もメンテナンスで大きく左右される機械です。砥石の寿命や形状の確認や交換が求められ、クリーニング、研削液の交換・管理、機械のレベリング・保守点検など、使うほどに消耗する要素が含まれる機械はなかなか査定が難しいでしょう。

さらに日本以外のメーカーの製品は、日本国内にアフターサービスを提供する組織があるかどうかによって異なります。アフターサービスが受けられない場合は、ほぼ値が付きません。

売却希望時点での、機械の需要やトレンドも重要です。特徴がある機種は、特定分野での需要が高いため、有利になるケースがあります。

また、売却する前に機械の状態を確認し、修理やメンテナンスが必要な場合には、事前にそれをやっておく方法もあります。この場合は追加でコストが発生するため、そこまでやるかどうかは都度判断しましょう。購入者が安心して機械を使用できるよう、機械の動作確認や安全性の点検を行い、問題があれば修理することで、価値を上げて売却することができます。

年式を確認する

製造業で使われているような特殊な機械の場合、状態や型番、年式を確認しなければ正しい査定金額を算出してもらえません。年式を確認しましょう。

製造業では、機械の年式を製造年と呼ぶことが一般的です。機械の製造年を知ることで、その機械がいつから使用されていたか、どの程度の使用期間を経ているかなど、機械の状態を把握することができます。

機械の年式を確認するには、まず機械に付いているシリアルナンバーを確認します。シリアルナンバーは、機械を製造したメーカーが一意に付与した番号で、機械の製造年や製造工場などの情報を含んでいます。シリアルナンバーを確認したら、メーカーに問い合わせて、その機械の製造年を確認することができます。

シリアルナンバーを確認するには機械の外観をよく観察してみましょう。多くの場合、シリアルナンバーは機械の外側の表面に刻印されています。機械のフレームやカバーなどに記載されていることがあります。

また、機械に付いているマニュアルやドキュメンテーション、機械の型番などからも、製造年を推測することができます。これらの情報を参考にしながら、製造年を確認し、機械の状態を正確に把握しましょう。

モーターを確認することでおおよその年式を知ることもできます。古い機械はDCモーターが、新しい機械はACモーターが主流となっているため、モーターを確認するのも一つの方法です。さらに、中古機械市場で言われている「平成モノ」かどうかも売れるかどうかの分かれ道です。基本的に平成モノでないものは海外でしか需要がなく価格はあまりつかないと考えたほうが良いでしょう。

「平成モノ」の境目である1989年は、日本でのバブル景気のピークであり、当時の経済状況が非常に好調であった年です。そのため、この年以降に作られた中古機械は、高品質かつ高性能であることが多く、需要も非常に高かったため、買い取り価格も高めに設定される傾向があります。

なお、専門業者に査定を依頼した際は、写真を求められることも多いです。それでもわからない場合は、業者が現地視察に来ることもあります。

状態確認の4つのポイント

中古機械の状態確認は主に以下の4つポイントを実行してみましょう。

稼働時間の確認

機械の稼働時間を確認することで、機械の使用状況や消耗度合いを把握することができます。また、稼働時間が長い場合には、必要なメンテナンスや部品交換の頻度が高くなります。

外観の確認

機械の外観を確認することで、機械の傷や変形、塗装の剥げなどがあるかどうかを把握することができます。外観に問題がある場合には、内部の状態にも影響を与える可能性があります。

部品や機構の動作確認

機械の部品や機構の動作を確認することで、機械の性能や精度を把握することができます。特に、高精度の加工を行う機械の場合には、部品や機構の状態に問題があると、精度に影響が出ることがあります。

メンテナンス履歴の確認

機械のメンテナンス履歴を確認することで、適切なメンテナンスが行われていたかどうかや、部品交換の頻度などを把握することができます。適切なメンテナンスが行われていなかった場合には、機械の寿命が短くなることがあります。

状態把握とマーケット確認を

このように中古機械を売却するためには、業者へ依頼する前に機械の状態把握と、中古市場に相場を確認することが大事です。機械の状態については、事前に十分な確認を行い、説明書やメンテナンス履歴を確認することで、誤解やトラブルを防ぐことができます。また、中古品の相場を正しく理解しておくことで、査定価格を期待しすぎたりすることのないよう、堅実な資産化を狙いましょう。

 エマニャン

円満廃業ドットコム 編集部のアバター

円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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