飲食店を営む会社が廃業をする際、高い初期投資をかけた厨房機器を売却することで一定の現金化をすることができます。しかし、中古品としての売却の現場でよく聞く声は、「こんなに安いとは」というもの。新品価格の数分の一ということも少なくありません。
厨房機器は、機器そのものの金額に加え、マーケットに出す前に運搬に人手や輸送コストがかかります。この点を踏まえると、仮に機器に金額がついたとしても、その他のコストで「差し引きゼロ」ということはよくあります。少しでも現金化するために、中古の厨房機器を売却する前の注意点を考えてみます。
中古厨房機器のマーケットは大きい
厨房機器の中古マーケットは、需要と供給のバランスによって変動しますが、入れ替わりが激しいこの業界において、一般的には安定した市場です。しかし、2020年以降蔓延するコロナウイルスや緊急事態宣言、時短営業、営業自粛の影響で飲食店の閉店が加速して供給過多になったことがあります。厨房機器の相場は下がり気味であるか、上がり気味であるかをチェックはしておきましょう。
まずは年式の確認を
厨房機器には、商品ラベルがシールとして貼ってあります。そこに記載されているのは主に型式・製造番号・年式・電圧やガス種です。商品ラベルに年式がない場合は、製造番号から調べましょう。どんな情報が記載されているかは、メーカーや商品によって異なります。また、売却時には電気・ガスの規格・仕様を確認しておくことで、直接売買時のトラブルが減ります(業者への売却時は業者が確認してくれます)。
冷蔵庫は清掃して臭いを取って
中古の厨房機器としてまず挙げられるのが冷蔵庫。業務用の冷蔵庫の耐久年数は、使用環境やメンテナンスの状況、品質などによって異なりますが、一般的には10年から15年程度とされています。
冷蔵庫に限らず、フリーザー、冷蔵コールドテーブル、製氷機といった、冷蔵冷凍関連の製品は一般的に価値がつきやすい中古厨房機器です。飲食店などでは欠かせない定番製品であり、需要が高いことが主な理由です。
ただし、業務用冷蔵庫をはじめとするこのような機器は、毎日長時間稼働し、大量の食品や飲料を保管するため、家庭用の冷蔵庫と比較して寿命が短くなることがあります。また、周囲の温度や湿度の変化、通風状況、使用頻度、清掃状況などが影響を与えるため、定期的なメンテナンスをしてきたかに左右されます。耐久年数はあくまでも目安であり、使用状況に応じて異なることも意識しておきましょう。
冷蔵庫を新品で購入したときは100万を超えることはざらです。いまあなたが売ろうとしている冷蔵庫には値がつくのか。まず初めにやるべきことは冷蔵庫の動作確認です。具体的には冷却能力が十分であること、温度調節機能が正常に動作していること、異音や振動がないことを確認しましょう。
衛生面も重要です。中古の冷蔵庫をしっかりと清掃しましょう。内部を洗浄し、水滴を拭き取り、臭いが残らないようにしましょう。外部も汚れがあれば拭き取り、見た目をきれいにすることも重要です。さらに外見を確認して、傷や凹みがないかチェックしましょう。外見も買取価格に影響します。
熱調理系は汚れも
ガスオーブンレンジやフライヤーなどの熱処理系の厨房機器は、製造年に加えて汚れにも注意しましょう。フライヤーは油汚れが付きやすく、中古品として売却する場合でも、新品同様の清潔感が求められます。販売前には徹底的に清掃を行い、油汚れや臭いを取り除きましょう。
さらに熱処理系の厨房機器は高温での使用が多いため、故障や不良箇所が発生することがよくあります。売却前には動作確認を行い、故障や不良箇所がある場合は修理を行ってから販売するのも一つの方法です。
また、付属品も残っているかを確認しましょう。バスケットや油受けトレイ、油温計、フィルター、排水管など付属品が残っている場合は整理しておきましょう。
収納系はサイズ次第
棚などの収納系のものは、そのサイズによります。サイズが大きすぎたり、特殊な形をしているものは、売却先で寸法が合わず厨房に入らない・設置できないといった可能性があるため、売れなかったり、買い取り価格が低くなったりすることがあります。
売却業者選びは相見積もりで
中古の厨房機器を売却するときは、複数の業者に見積を取りましょう。そうすることで、あなたの売却額にも納得感が増すはずです。耐久財といえど中古です。これまでの利用状況によって大きく査定額が変わることも認識したうえで、堅実に現金に換えていきましょう。