廃業時の株主対策~株の処理の3つ方法

円満廃業ドットコム:廃業時の株主対策~株の処理の3つ方法

中小企業が廃業を考える場合で、自分以外に株主がいるときはその資金の戻し方について悩むものです。社長自身を応援して資金を入れてくれた人や、社長が壮大な夢を語ってそれに乗ってくれた人など、株主にもそれぞれの想いがあります。

せっかく応援してくれた人たちに対して、廃業という報告をすることは辛いですが、株の処理は最後の仕事として、出資を受けた以上残ってしまいます。株主対策として、廃業時における株の処理の方法について解説します。

目次

清算後に資金が残らない場合

廃業にともなって、債務や債権を整理し、諸費用を差し引いた結果、お金が全く残らない場合です。つまり、会社としての価値がゼロという状態です。この場合は、出資金を返したくても返すお金がありません。株券はただの紙切れになってしまいます。この場合は、返すお金はありません。出資者が株式会社の場合は減損処理をしてもらうしかありません。出資者が個人の場合も同様に返せるお金がなく、出資者は「投資に失敗し、投資額が消えた」ということになります。

出資者にとって株式会社というものは、成功すれば配当としてリターンを得られますが、失敗した場合で会社に債務があった場合は、出資した範囲内を上限とし、その責任を負うということになります。この場合は資金がゼロなので債務もありませんが、戻ってくるお金もありません。結果的に状況を説明して納得してもらうほかありません。これが一番厳しいパターンです。

出資額の金額で株を買い取る

実際に取られることも多い方法です。出資者が身近な人であったり、事業主として損はさせたくないという気持ちがあったりなど、経営者が出資額で買い取ることがあります。会社として買い取って減資する方法や、経営者個人が買い取る場合などがあります。

このケースはかならずしも経済合理性で決まるものではなく、社長と出資者との当人同士で決まることが多いように思えます。なお、株が価値のないものとみなされた場合は、買い取りが贈与と解釈されて税金がかかることがあるため、注意が必要です。

内部留保を株主比率で分配する

会社に内部留保が多い場合を考えてみます。剰余財産が確定した後は、株主に対して残余財産の分配が行われます。この残余財産の分配額のうち、資本金の部分は、出資者に返された場合は株式の譲渡所得となりますが出資額分までは課税対象となりません。

負債を資産で払い切った後に、残った資産を株主割合で配分するのがこの考え方であるため、出資分を除いた分の分配金に対してはみなし配当課税がかけられます(みなし譲渡)。つまり、資本金等を除く利益剰余金からなる部分については、みなし配当となり、配当金と同じ扱いになります。内部留保がかなりある場合の会社清算においては、このみなし配当の金額が多くなる可能性があります。みなし配当は、会社で20.315%の源泉徴収をした上で、株主に支払います。

会社清算時に残ったお金は、社長にとっても埋蔵金ではありません。出資金額に応じてフェアに配分されるルールがあることを意識しておきましょう。

 エマニャン

円満廃業ドットコム 編集部のアバター

円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

目次