会社の終わりである廃業。廃業を前提に企業経営をしていくと、承継や清算問題をうまくクリアできるという考え方もあります。
今回は、廃業を前提に企業を経営するということについて考えてみます。
会社の将来をどう決めるか「廃業視点で考える新戦略」
まず注意したいのが「廃業」と「倒産」を混同せずに考えることです。
両者は、企業が営業を停止する状況に至るまでの過程が異なります。
廃業
企業が自主的に事業活動を終了し営業を停止することを指します。経営者の意思決定により事業の継続が困難であると判断した場合や、事業承継者がいない場合がこれにあたります。廃業は、企業が経済的に困難な状況に直面するというよりは、将来の見通しや戦略によって決定されることが一般的です。
倒産
企業が経済的に困難な状況下に陥って事業を継続できなくなり、営業を停止することをいいます。倒産は、負債が資産を上回り支払い能力を喪失した場合、債権者との合意が成立しない場合に発生し、破産、民事再生などの法的手続きが伴います。
今回は廃業を着地にする考え方をご紹介します。
自主的な会社の着地方法
自主的な会社の着地方法には次の3つがあります。
- ・会社の廃業
- ・社長の交代
- ・会社の売却
どれも「自らの意思で潔く撤退するという姿勢をもつ」ということになります。
「廃業」に抵抗感をもつ方もいるでしょう。私たちも廃業を推奨するわけではありません。そのような選択肢も視野に入れながら会社の問題に取り組むことで、企業の着地問題の解決につながります。
大廃業時代の問題点
廃業は自然に発生するものです。しかし中小企業では、社長が日々の業務に忙殺され、必要な準備や行動をできていないことが多くあります。中小企業の社長の平均年齢が60歳を超えることを踏まえると、この着地問題に向き合わなければならない経営者がいかに多いかが想像できます。
事業承継問題では、「黒字の会社が廃業でなくなるのは損失だ」という意見もありますが、将来的に利益の見込めない会社や借金が多い会社も適切に着地する必要があるのではないでしょうか。
変化の激しい今の世の中では、人々のライフスタイルや価値観も変わっています。後継者問題でも昔は親の家業を継ぐことが当然でしたが、今は安定志向が強まり、リスクを嫌う傾向があります。これが現代の大廃業時代の問題点の1つです。
社長が急に亡くなった時にも対応できるように
社長の急逝がもたらす中小企業の混乱は、相続問題もからみ日本のいたるところで起こっています。社長は存命中に会社の着地問題を解決しておくことが重要です。
会社の着地問題はある程度予想がつくため、十分な対策と準備が可能です。
着地問題に関する対策はコストパフォーマンスがよく、まさに「社長の仕事」といってもよいのではないでしょうか。