経営状況の悪化から企業としての負債が増えてしまった場合は「債務整理」を検討することになるでしょう。しかし、お金のからむこの債務整理の手続きはとても難しく、正しい手順をふまないと、思わぬトラブルに発展してしまうことがあります。
今回は、廃業を検討している中小企業の経営者に向けて、円満かつスムーズに負債を整理する解決方法をご紹介いたします。
債務整理とは?
経営状況が悪化して、借入金の返済が滞ってしまった際に行う手続きのことを「債務整理」といいます。具体的には、お金を借りている側(債務者)と貸している側(債権者)が協議して返済計画を再編するものです。方法は1つではなく、自己破産や任意整理などがあります。
任意整理は、お金を借りている人が貸している人に交渉し、返済の条件を見直す方法です。企業の借金や買掛金をなくしてもらうのが1番ですが、なかなかそうもいきません。債権が別の業者にかわり、取り立てが来るなんてことにならないためにも円満な解決方法をいち早く目指していきたいところです。
一方、自己破産はすべての負債を免除すると同時に、今ある自分のすべての資産を手放す方法です。車や住宅も含めた、すべてです。
各方法にはそれぞれ特徴がありますので、自身の状況や希望に応じて最適な方法をみつけていきましょう。
円満な債務整理のポイント
債務整理はつらく悲しい作業となりますが、円満な解決をするためにも、以下の6つのポイントを知っておいてください。
①早朝の対応
借金の問題は、なるべく早くに解決することが求められます。限界まで借金をふくらませてしまうと後でつらくなるのは自分です。返済が難しいと感じたときは、すぐに専門家に相談してください。
②透明性のある対応
今回は「円満解決」を重視していきますが、そこで重要なのは関係者に対して透明性のある対応をすることです。債権者との円満な関係を保つためにも債務状況をしっかりと把握し、正直に伝えることが大切です。
また、返済計画についてはこちらから具体策を提示しながら話を進めることで、債権者との信頼関係を築くことが可能です。
➂専門的な支援
債務整理の手続きは、専門的な知識が必要になります。知らないまま進めることで、債権者を怒らせてしまったり、詐欺などの罪すら発展することもあります。
法律家や財務アドバイザーからアドバイスを受けることで、正しい手順、方法で円満な解決を目指します。まずは、専門家の話をきくことからはじめましょう。
④状況の把握
債務整理をする段階になっても、負債についてよく理解していない経営者も少なくありません。借入している金額、利息、返済期間など、負債に関する情報はすべて頭に入れておきたいところです。
まずは貸借対照表の貸方にある勘定科目の内訳をのぞいてみるといいでしょう。借入金、未払金、買掛金、前受金、仮受金など、現在の負債が見えてきます。
⑤解決策の選択
整理といってもその方法はさまざまです。任意整理、自己破産、個人再生など、自分の状況や希望から最適なものを選択する必要があります。
負債状況や個人の財務状況、将来のビジョンによっても選択肢は変わってきます。まずは専門家に聞いてみるのが一番です。
⑥交渉
選択した方法に応じて債権者との交渉を行います。交渉は、オープンで誠実な対応を重視してください。
周囲への感謝の気持ちを忘れずに
経営の継続には、どうしても「お金」が必要です。
これ以上経営するのは難しい、と判断したときにはなるべく早く専門家に相談して適切なアドバイスをもらうことをおすすめします。債務整理には専門的な知識も必要になるため、専門家のサポートが欠かせません。円満解決を目指すうえでも必須といえるでしょう。
また、「債務整理」というとマイナスのイメージがありますが、リスタートを切るための手段ともいえます。現在の状況はつらく悲しいものであっても、この先もずっと続くのかというと、それはまた別問題です。明るい未来へのリスタートを切るためにも、ぜひ、「今」を乗り越えましょう。
円満解決を目指すにあたって重要なのは、自分の財務状況を客観的に判断して手続きを進めることです。ただ、何度も言うように専門的な知識が必要になる分野ですので、専門家と二人三脚で進めていくことをおすすめします。
また、債権者とのコミュニケーションも大切です。現状を伝えたうえで誠心誠意対応していくことが納得のいく解決につながります。
債務整理の手続きは、経営者のメンタルにも大きな影響を及ぼします。特に自己破産や個人再生などの選択肢は自分の信用や評価にもからんでくるため、大きなダメージを受ける人も少なくありません。しかし、それは現状を打破するための方法であり、新たなリスタートを迎えるための一歩です。円満に解決すれば、きっと肩の荷がおりたような気持ちになれることでしょう。
経営者自身も、今回の手続きでまた大きく成長できるはずです。困難な道のりではありましたが、次なる一歩を踏み出せるのはとても大きなことです。「自分だけ苦しい思いをしている」と思いがちですが、成功した人たちの多くは同じような困難で、あきらめずに前に進んできた人たちです。「終わり」ではなく「始まり」と捉えて真摯に向き合っていきましょう。
そして、周りの人たちへ感謝の気持ちを忘れないことも大切です。周囲からの強力なサポートは、困難に打ち勝つ最強の武器となります。1人で抱え込まず、最適な解決策をいっしょに模索していきましょう。