地域の中小企業が惜しまれながら廃業する話がニュースで取り上げられることがあります。経営者としては「ようやく会社をたたむことができた」と前向きな考え方を持っていたり、反対に悔しい思いをしていたりとさまざまですが、地域の人たちは寂しいを思うことも多いようです。
2023年版 中小企業白書・小規模企業白書では「地域の持続的発展を支える事業者」が取り上げられています。地域で応援される小規模事業者とはいったいどのような存在なのでしょうか。
なお、「小規模事業所」とは、総従業者20人以下(卸売業、小売業、飲食業、サービス業は5人以下)の事業所を指します。
「中規模事業所」とは、総従業者300人以下(卸売業、サービス業は100人以下、小売業、飲食業は50人以下、一部の政令指定業種を除く)の事業所のうち「小規模事業所」を除いたものを指します。
「大事業所」とは、 「小規模事業所」及び「中規模事業所」以外の事業所のことです。
小規模事業者は、人口密度が低い地域ではとても重要な存在
小規模事業者は、人口密度が低い田舎の地域では重要な存在です。以下の図は、人口密度別に見た、事業所数の構成割合です。人口密度の区分は、各市町村を人口密度について、低い方から順に「低」、「やや低」、「やや高」、「高」の四つに分けたものです。つまり、人口密度の低い順に挙げた全国25%の市町村では、小規模事業所は全体の8割を超えています。多くの人たちが小規模事業者を身近に感じているのではないでしょうか。
さらに地方では、都市と比べて人口減少・少子高齢化が一層進展することが見込まれており、地域住民の生活に不可欠な対人サービスの提供が困難となる地域が増えていく可能性があります。
「消滅可能性都市」という言葉も生まれ、約900弱の市町村区が2040年に消えるという可能性も指摘されています。
こうした背景の中、地方の市町村の企業で多くを占める中小企業・小規模事業者におけるデジタル化は、人口減少・少子高齢化の進展による人手不足を解消する手段としても注目されています。
自治体が民間企業に期待し始めている
地方では病院・買い物等の生活が難しくなり、住民の利便性が低下しているケースがあります。そこには、移動販売サービス(移動スーパー)や買い物代行サービスなどもビジネスの可能性があります。
自治体が公共交通機関の縮小を決めた結果、民間に頼らざるを得ないこともあるでしょう。予約型の乗り合いタクシーやデイサービス送迎者の相乗りによる交通弱者支援サービスのニーズがあります。
そもそも自治体の職員のなり手不足もあるでしょう。パートタームで自宅からできる環境の整備や、人材の確保もまた商機ととらえることもできます。
事業としてこれらを成り立たせるためには、自治体の助けも必要となります。自治体側も期待していることも多いため、自治体との協力体制をいかに作っていけるかが重要になるかもしれません。自治体から応援してもらえる状態になれば、地域の小規模事業者としても持続的な成長を目指すことができます。
このような取組の実現に向けて、地方の小規模事業者は事業の社会的意義を検討し、その意義を資金提供者にも共有してはいかがでしょうか。そして、自治体との連携を進めながら、その成功体験を複数の地域へ展開することで、事業も拡大することができるでしょう。1つの地域で成功したパターンをほかの自治体は興味を持ちやすく、導入のハードルも下がります。
自治体に応援され、自治体と協力して、会社の未来を作っていきませんか?