経営者の引退後の収入どうする?小規模企業共済制度とは

中小企業を経営している経営者の皆さんは、日々の業務に追われながらも、将来のことを考える時間はあるでしょうか?特に引退後の収入源については、多くの経営者が頭を悩ませるテーマの一つです。この問題に対する一つの解決策として「小規模企業共済制度」があります。本記事では、小規模企業共済制度がどのようなものか、そのメリットや加入条件などを具体的に説明していきます。

目次

小規模企業共済制度とは?節税効果もあり

小規模企業共済制度は、小規模事業者が自らの退職金を自助努力によって準備するための公的な制度です。小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度と理解してよいでしょう。

この制度ができたのが1965年。以降、小規模事業者の廃業、退職、転職などに備え、廃業後の生活の安定や事業の再建の資金を準備するための制度であり、半世紀もの間、経営者のセーフティ機能を担ってきました。

小規模企業共済制度は、中小企業基盤強化法に基づいて設けられており、中小企業庁が所管しています。加入者が毎月一定額を共済金として積み立てることにより、退職時には積立金に基づいた一時金が支給されます。また、病気やけがで事業を続けられなくなった場合にも、一時金が受け取れる安心設計となっています。

この小規模企業共済制度は、多くの企業が入っていますので、まずは自社(自分)が入っているか確認してみましょう。小規模企業共済の掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。このため、税理士の勧めにしたがって入っている企業が多いという側面もあります。

小規模企業共済制度のメリットは

税制上の優遇

前述したように、小規模企業共済のメリットは、積み立てた共済金が所得税や住民税の控除対象となることです。節税効果が期待できます。月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。確定申告の際は、その全額を課税対象所得から控除できるため、結果的に高い節税効果があります。

たとえば、毎月7万円の掛け金で加入していた場合は、年間で84万円もの控除が可能です。これは大きいと言ってよいでしょう。

積立金額を途中で変更できる

小規模企業共済の加入者は、自身の経済状況に応じて積立金額を変更することができます。また、事業の廃業や他の共済制度への加入時など、さまざまな場面で脱退が可能です。

手厚い保障: 退職時だけでなく、病気や怪我で事業を続けられなくなった場合にも一時金が支給されます。これにより、事業者のリスクを軽減します。このように経済的な状況に合わせて変更ができるのもメリットです。

小規模企業共済制度の加入条件は?

小規模企業共済制度に加入できるのは、以下の条件を満たす事業者です。

  • 常時使用する従業員数が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び会社の役員
  • 事業に従事する組合員が20人以下の企業組合、協業組合及び農事組合法人の役員
  • 小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者 (個人事業

元本割れする?廃業したときにももらえる?

小規模企業共済では「共済金が100%を超えるのは240ヶ月以上(20年)」となっているため、20年未満で解約すると元本割れのリスクがあります。

しかし、廃業であれば20年未満であっても元本割れしません。元本割れをするのは、任意解約の場合の解約手当金です。廃業(法人の解散)を理由に共済金を受け取る場合には、元本割れすることはありません。なぜなら、小規模企業共済では相互扶助の精神にもとづき、事業をやめたときの共済金を高く、任意解約の場合の手当金を低く設定しているためです。この結果、例えば加入期間が同じ場合は、廃業した場合の方が受け取れるお金は多くなることになります。

会社をたたんで就職する場合は、請求事由を廃業にして共済金Aを受け取るのがよいにゃん

iDeCoと小規模企業共済は併用が可能!

小規模企業の経営者や役員、個人事業主の方が将来のために蓄えられる同様の制度として、iDecoがあります。実は、iDeCoと小規模企業共済は併用が可能です。併用すればより高い節税効果が期待できるため、将来の資産を蓄えるために、早いうちに両方を活用することもできます。

iDecoも確定申告の際に、掛け金の全額を課税対象所得から控除することができるにゃん。つまり、両方使うと節税効果も大きくなるにゃん

小規模企業共済に加入するには

小規模企業共済制度は、中小企業の経営者が自らの手で退職後の安定した収入を準備するための大変有効な制度です。税制上の優遇や柔軟な運用、手厚い保障といったメリットを活かし、将来に備えることが可能です。

加入を希望する場合は、最寄りの中小企業共済組合に申し込みます。申し込み時には、事業の概要や経営状況を示す書類が必要になることがあります。手続きが完了すると、共済契約が成立し、積立金の支払いを開始します。

中小企業の経営者の皆さんは、ぜひこの制度を活用して、安心できる未来を築きましょう。

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円満廃業ドットコム 編集部

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