中小企業で増える倒産予備軍。難しい廃業のタイミング

2023年8月6日、中小企業の倒産予備軍が増えているというニュースが日経新聞に掲載されました。保証付き融資の返済を信用保証協会が肩代わりする「代位弁済」は、2023年4〜6月に9720件と前年同期比70%増えています。これは3年ぶりに3万件を超えた2022年度を上回る増加ペースです。新型コロナウイルス禍の資金支援で借金が膨らんだところに物価高や人手不足が重なり、資金繰りが厳しい状況となっています。

目次

倒産の先行指標とされる代位弁済とは

代位弁済(だいいべんさい)とは、債務者(お金を借りた側)が借金を返済できなくなった場合に、保証会社などの第三者が代わりに返済をすることです。

企業の社長(オーナー)からすると、借金を第三者が肩代わりしてくれるように一見思えます。しかし、それは間違いで、求償権(債務者に返済を請求する権利)がもとの債権者から保証会社などに移っただけです。つまり、保証会社から債務の履行を求められるだけで、債務を抱えている状態に変更はありません。この代位弁済は倒産の先行指標とされ、代位弁済の数が増えると、景気に対する警戒感が広がります。

2022年度の全国の代位弁済数は3万148件と前年比45%増で、これは非常に大きな変化といえるでしょう(全国信用保証協会連合会のデータより)。

代位弁済となった場合、企業は保証会社とは分割払いの契約をしていません。つまり代位弁済後は、基本的に一括請求され、これまで以上に厳しい状況となってしまいます。

いま、コロナ禍の手厚い資金繰り支援を受けてなんとか継続していた企業が、昨今の資源高などによって財政状況が悪くなっていることが推測されます。利息と元本の返済を一定期間免除する融資(ゼロゼロ融資)を受けたものの、売上が回復しても利益が出にくく、借金の返済が困難になるケースという状況です。

廃業を決断するタイミング

融資を受けて当面の資金を用意し、事業を継続している企業は多いでしょう。売り上げが戻ってきている企業も少なくないと考えられます。しかし、その事業自体が本当に今後、利益を出し続けていけるのか、業界の行く先や事業を継承できる人物がいるか、さまざまな角度から検討してみてはいかがでしょうか。どうしようもなくなる前に、資産を残して廃業することで、次のスタートを切りやすくする考え方もあります。以下のことを考え、行動に移すのも経営者の仕事です。

廃業が選択肢になるケース

  • 業界のマーケットが縮小傾向である
  • 事業を引き継げる後継者が見つからない
  • 手元に資金を少しでも残したい
  • できるだけ債権者に迷惑をかけずに会社をたたみたい
  • 自社事業の先行きに期待が持てない場合
  • 遠からず資金繰りが困難になることが見えている
  • 既に資金繰りが困難になっており、その状況が続くと予想されている

破産などの倒産手続を取ることなく会社を閉めるという円満廃業のためには、業績がそれほど悪化しないうちに手を打つことが重要です。経営者が会社の損益状況や資産と債務の状況を客観的に把握していくことが欠かせません。

借入金などの債務が多く全額の支払いが難しい状態になっていれば、廃業した後破産などの倒産手続を取らざるを得ません。しかし、その状況が悪化しないうちに、つまり傷口が浅いうちに手を打てば、ずるずる事業を継続して債権者に損害を与えてしまうよりも、やや円満な幕引きをすることができます。

廃業のタイミングはとても重要で、自社の状況、周辺マーケットの状況、日本全体の経済の流れなど、さまざまな角度から検討して、公開のない円満廃業を目指しましょう。

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 エマニャン

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円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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