中小企業の経営者にとって、辞め時の決断は最後の仕事です。事業がうまくいっていても、後継者が見つからなくて会社をたたまざるを得ないケースもあり、事業承継問題として中小企業庁も対策が必要だと考えています。また、事業の悪化により廃業を選択せざるを得ない場合もあり、これは経営者の判断タイミングが重要になります。
会社をたたむときに浮かぶ言葉
会社を「たたむ」、もしくは「たたまざるを得ない」ときには、「廃業」や「倒産」といった言葉が浮かぶでしょう。この廃業と倒産は同じ「会社をたたむ」行動ではありますが、その中身は大きく異なります。
「倒産」とは会社が負っている債務を払えなくなったり超過してしまったりすることで事業を辞めざるを得ないことを言います。
いまやめよう(会社をたたもう)と考えている事業を整理した場合、債務が残らない状態にできる場合、それは廃業です。口座に残る資金や、機材・土地の売却などによって、従業員の給料や税金・社会保険料を含むすべての債務を支払える場合は、きれいに会社を消滅させることができます。これが廃業です。債務を支払い終えてもなお資産が残っている状態で廃業をすることが、損をしない廃業のコツです。
つまり、会社をたたむ方法は大きく分けて2つあり、「廃業」は債務を完全に弁済した上で事業をやめること、「倒産」残った債務を清算する法的手続ということができます。
会社をたたむ理由やタイミング
会社をたたむ理由やタイミングとしてはどのようなものがあるのでしょうか。経営者としては、倒産は絶対に避けたいところでしょう。事業の調子が良い場合は、後継者を早めに見つけることが必要ですが、資産を残して廃業という選択肢もあります。
経営者が高齢化または健康問題を抱えた場合
経営者の高齢化は会社をたたむことを考える大きな理由の一つです。これまで現場でがむしゃらに頑張ってきたけれども、体力的に厳しくなってきたと感じるのがそのタイミング。「もし自分がいなくなったらこの会社はどうなるのだろうか」という思いが、急に現実味を帯びてきます。経営者が突然亡くなった場合、会社では大きな混乱が訪れます。
(参考:廃業する前に死んではならない理由 | 円満廃業.com (en-high.com))
後継者や人材の確保が困難な場合(事業承継)
経営者の高齢化が進んだ際に出てくるのが事業承継問題です。会社を継がせられる人をこのタイミングで探し出してもなかなかうまくいかない場合があります。
また、自分の育てた会社が二束三文で他人に渡るのが耐えられないといった理由で廃業を選ぶ人たちもいます。(売却・事業譲渡をせずに廃業を選ぶ人たち | 円満廃業.com (en-high.com))
売り上げが下降気味でマーケットの成長も見込めない場合
売り上げが前年比マイナスを続けている場合も廃業を考えるタイミングです。自社の売り上げが下がり続けている理由を考えてみましょう。自社で改善できるものなのか、またはマーケットがそもそも小さくなっているのか、なくなりつつあるのかに着目してみます。移り変わりの激しい事業環境の中で、ひたすら耐えていると、せっかくの内部留保も食いつぶし、廃業どころか倒産になってしまうリスクがあります。経営者としては早めのタイミングで廃業を決断し、従業員や自分自身に少しでも資産を残すという考え方もあります。
資金調達が難しい場合
経営が苦しい場合、解決策が見えるのであれば資金調達で乗り切るのも一つの方法です。しかし、なかなか調達ができない場合、市場はあなたの事業に可能性を感じていないのかもしれません。調達する資金はつなぎのためではなく、事業の成長のために使ってほしいと思うのが投資側の心情です。潔く結果を受け入れて傷口が浅いうちに廃業を決断するという考え方もあります。
手遅れにならないうちに良い状態で出口を探るということにゃん
損せずに賢く会社をたたむために
会社をたたむことを考えた場合、債務が残る倒産よりも、資産を残す廃業を選んだほうが良いのは明らかです。そのためには手遅れにならないような判断が必要です。会社をたたむ理由はそれぞれです。しかし、会社をたたむタイミングは、経営者のその後の経済的事情にも大きなインパクトを与えるため、適切なタイミングで早めに判断をして行動に移すことが望まれます。