廃業・倒産からの復帰:転職・再就職のコツ

事業の閉鎖や倒産に直面することは、あらゆるビジネスオーナーにとって、困難で厳しい経験です。経済的、精神的な苦痛につながる辛い現実です。廃業はうまく、円満にできれば失敗とは言えませんが、やり方によっては成功とはいえない廃業もあります。

倒産に関しては、清算を余儀なくされているため、これは失敗というしかないでしょう。そこには大きな挫折感が残ります。しかし、困難や挫折にもかかわらず、再起することは可能で、いくつもの成功事例もあります。

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倒産経験を経て成功した起業家たち

ウォルト・ディズニー(Walt Disney): ディズニーランドを立ち上げる前に、ウォルト・ディズニーはアニメーションスタジオを倒産させました。しかし、彼はあきらめずに立ち上がり、後に世界的な娯楽企業であるウォルト・ディズニー・カンパニーを設立しました。

ヘンリー・フォード(Henry Ford): フォード・モーター・カンパニーを設立する前に、ヘンリー・フォードは2つの会社を倒産させました。しかし、彼は自動車の製造方法を改良し、フォード・モーター・カンパニーを設立し、自動車産業に革命をもたらしたのは有名な話です。

スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs): アップルの共同創設者であるスティーブ・ジョブズは、1970年代後半に起業した会社、ネクスト(NeXT)を立ち上げましたが、事業としてはうまくいきませんでした。その後、彼はアップルに復帰し、iPod、iPhone、iPadなどの製品を生み出し、アップルを世界的なテクノロジー企業に育て上げました。

アリ・ブラック(Arianna Huffington): ハフポスト(HuffPost)を立ち上げる前に、アリ・ブラックは政治的な失敗と財政的な問題により、個人的にも仕事上でも深刻な危機に陥りました。しかし、彼女はあきらめずに、ハフポストを立ち上げ、オンライン・ニュースメディアの分野で成功を収めています。

廃業・倒産からの復活への手段

廃業や倒産から立ち直るには、いくつかの方法があります。あらためての再就職、転職と     リスキリング(学び直し)は、挫折から立ち直り、経済的な足場を取り戻すのに欠かせない方法です。この記事では、これらの方法で復活するためのヒントを考えます。

転職する

廃業や倒産から復活するための最も効果的な方法のひとつに、転職があります。新しいキャリアや業界でやり直すのは大変だと思うかもしれませんが、転職することで心機一転、新たなチャンスを手に入れることができます。

ここでは、転職を成功させるためのヒントをいくつか紹介します。

1.自分の強みを理解し、転職活動でそれをアピールする

経営者として、あなたはたくさんのスキルを身につけ、有益な経験を積んできたと思います。就職活動では、自分の強みを明確にし、それを強調することが重要です。これまでの経験は、失敗も含めて評価の対象となるでしょう。むしろ、その失敗を分析できていればとても貴重な候補者になるはずです。

求人に応募する際には、履歴書を工夫して、自分の強みをアピールし、それが求人条件とどのように関連しているのかをアピールしましょう。過去の経験から、自分のスキルやそれをどのように応用して成功したかを示す例を挙げましょう。「元社長」でることが良い例にできるかはあなた次第です。

2.自分の興味やスキルに合った仕事を選ぶ

新しい仕事を選ぶ際には、自分の興味やスキルに合った職務を選択することが重要です。楽しくて得意な仕事を追求することは、仕事の満足度を高め、成功の可能性を高めることにつながります。一定の年齢を重ねた人であれば、昔ほどの体力はもうないかもしれません。穏やかな人生をどう作れるかは仕事の選び方で左右されます。

就職市場を調査し、自分の興味やスキルに合った仕事を見つけましょう。同業者とのネットワークを構築し、就職フェアのようなものに参加することで、実際に応募しなくても潜在的な仕事の可能性を知ることができます。

3.面接の準備をする

面接を成功させるためには、準備が重要です。企業や仕事の条件について徹底的に調べましょう。これまでの経験や自分の強み、その仕事に興味を持った理由などについての質問に答えられるようにしておきましょう。相手は「一度社長を経験した人がサラリーマンとして上司の指示にしたがって働けるのだろうか?」という不安を抱えるものです。自身の失敗や挫折をしっかりと認め、どうすればこの会社のために役立てるだろうかという純粋さこそが相手に響くものです。

会社、役割、職場環境について面接官に質問するリストを用意しましょう。こうすることで、あなたがそのポジションに興味を持ち、取り組んでいることを示すことができます。

4.学習や新しい経験に対してオープンな心構えを持つ

転職は、新しい職場環境、新しい人々、新しいチャレンジに入ることを意味します。     これまでの経営者としての経験や実績に囚われることなく、学習や新しい経験に対してオープンであることが重要です。

フィードバックを受け入れ、新しいやり方に積極的に適応していきましょう。研修の機会があれば利用し、新しい職務や会社についてできる限り学ぶ努力をしましょう。

リスキリング(学び直し)

リスキリング(学び直し)とは、新たなスキルや知識を習得して雇用能力を高めたり、新たなキャリアパスを追求したりするプロセスを指します。政府も積極的に進めており、まず、2020年に創設された「働き方改革実行会議」において、リスキリングに関する取り組みが打ち出されました。この会議では、企業が従業員のスキルアップに積極的に取り組むことを奨励するため、労働者に対して資格取得支援や研修制度の整備、キャリアアップ支援などの施策を推進することが決定されました。

国の制度を経営者としてどのように活用できるかは、悩ましいところではあります。しかし、社会人の勉強は新卒のときだけではなく、中堅以上も学びなおし続ける必要性が高まっているのは事実です。

またデジタル化などの新しい技術が次々と出てくる中で、自分の経験の中だけで仕事はできない時代が到来しています。必要なスキルをうまく社内外から取り込む必要がある中、世界的な潮流としてリスキングの必要性が高まっています。

政府は2021年度予算案において、リスキリングに関する財政支援を行うことを明記しました。この予算案により、労働者が自己啓発のための研修やスキルアップのための資格取得に必要な費用を補助する「再就職支援金」が創設されました。この支援金を利用することで、労働者は自己投資を行い、スキルアップに取り組むことができます。

さらに、地域の産業構造の変化に対応するためのリスキリングにも力を入れています。地域ごとに必要なスキルや技術を把握し、それに合わせた研修や支援を行うことで、地域の産業振興を促進することが目的です。具体的には、地域の中小企業に対して技術指導や研修支援を行う「中小企業診断士制度」の強化や、地方自治体において産業振興に必要なスキルを身につけることができる「地域産業人材育成講座」の開催などが挙げられます。

このように、日本政府は、労働者のスキルアップを積極的に支援し、産業構造の変化に対応するための取り組みを進めています。今後も、より効果的なリスキリング支援策の実施に向けて、検討が進められていくことが期待されます。

このリスキリングは廃業や倒産から立ち直ろうとする企業オーナーにとっても、有効な手段です。効果的なリスキリングを行うためのヒントを考えてみましょう。

1.需要のあるスキルを特定する

効果的にリスキリングするためには、需要のあるスキルを特定することが重要です。雇用市場を調査し、目標とする職務や業界で必要とされるスキルを特定しましょう。

オンラインの求人情報誌や業界レポートなどを利用して、需要のあるスキルを把握することが重要です。スキルを特定したら、そのスキルを身につけるための計画を立て始めることができます。

2.自分のニーズに合ったリスキリングプログラムを選ぶ

リスキリングプログラムには、オンラインコース、認定資格、見習いなど、いくつかの種類があります。プログラムを選ぶ際には、自分のニーズに合ったもの、自分のスケジュールに合ったものを選びましょう。そして、費用、期間、プログラムの内容も考慮しましょう。

3.リスキリングの失敗例を知る

あなたはもう失敗したくないと思っているでしょう。失敗例を知っておくことで、リスキリングの失敗を未然に防ぐことができます。まずはリスキリングの目的や目標が明確でない場合、学ぶべきスキルや知識が適切に選定できず、効果的な学習ができません。

市場調査の不足も失敗例の一つです。業界のトレンドや求められるスキルについて十分な調査を行わず、時代遅れのスキルや知識を学んでしまうことで、求職市場での競争力が低くなります。

学習方法の選択にも気を使いましょう。 自分に合った学習方法を選べず、効率的な学習ができないことで、スキル習得に時間がかかりすぎる場合があります。

そして何よりも継続性です。リスキリングは時間と努力が必要ですが、継続的に取り組めず、途中で挫折してしまうケースがあります。これにより、リスキリングの成果が得られないことがあります。やり続ける意思や、やり続けられる分野の選択が必要です。

復帰へ向けて

倒産を経て成功した多くの起業家たちのように、     あなたには再挑戦の道も開かれています。廃業は人生の終わりではなく、何でもできる自由な時間が流れるスタートなのです。

 エマニャン

円満廃業ドットコム 編集部のアバター

円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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