家族とともに歩む円満廃業

円満廃業ドットコム:家族とともに歩む円満廃業
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廃業を家族にどうやって打ち明ける?

自主廃業を決めた経営者の方々は、廃業をどのように家族に伝えるか悩んでいること少なからずあります。廃業によって生まれてくる生活の不安や、がらっと変わるであろう人間関係から未来に対する漠然とした気持ちは事業主だけでなく、その家族も同じようも持っています。すべてが決まってから伝えるよりも、その前に相談しておいたほうが家族としても納得がいくものになるでしょう。廃業を家族に伝えるタイミングや、雰囲気作りはとても大事です。廃業に対して家族の納得が得られれば、廃業自体もいくぶんストレスが軽減されるのではないでしょうか。

廃業の決断を妻とともに下した工藤さんのケース

父親から引き継いだ写真館を廃業した工藤純一さん(仮名)は、妻と共に廃業の決断を下しました。工藤さん自身は廃業の意思が固まっていましたが、「相談」という形で妻に持ち掛けたといいます。まずは口頭でこの先どうするかをともに考え、妻にも写真館を今後どうしていくべきかの意見を求めました。その後、売り上げの見込みや、継いでくれる人が実際にいそうなのか、写真館という業態の現状などを整理し、再び妻と会話します。工藤さんはこの情報整理に時間をかけました。「子どもたちはみな独立してそれぞれの仕事を持っています。継いでほしいという気持ちがないといえばうそになりますが、子どもたちには子どもたちの人生があります。そこは妻もわかってくれていると思いますが、本音で話し合ったことはありません。この廃業が合理的な決断であることをわかってもらうためにも、一度情報を整理する必要があると考えました。」と語ったのは工藤さん。工藤さんはあらゆる情報を整理し、手書きで紙に書き出して、妻と家族会議をしました。「実は私の中ではすでに廃業という結論が出ていたのですが、妻のほうから『今のうちに廃業したほうがいいね』と言ってもらえることができたのです。」とその時の状況を説明してくれました。

「廃業の儀式を家族とともにやる」山下さんのケース

梱包資材を製造する企業を営んでいた山下宏さん(仮名)は、廃業というプロセスを妻とともに行うことを決めました。「これまで苦しいときも支えてくれた妻と、事業とたたむという仕事を共に進めたことはとてもよかった」と振り返ります。

山下さんは「廃業を決めた後は廃業の儀式を家族とともにやる」という気持ちを持ち、取引先へのあいさつ回りは、普段事業に関わらない妻と連れて行きました。廃業の段取りがついてくると、取引先へ出向くなどの予定が少なくなってきます。「廃業まで9ヶ月かかりました。挨拶も済んでくると、だんだんと外出する予定もなくなってくるのです。妻と状況を共有していたので、妻の目が気になって、予定もないのに外出するといったことをする必要はありませんでした(笑)たんたんとやるべきことをやって、労働時間も減らしていったのです。」(山下さん)

廃業の手続きが済んだ年末に、山下さん夫婦は縁起物を返しに神社へ行きました。「毎年事業の繁栄を祈ってきた神社に感謝の気持ちを伝えられ、一区切りついた気がします。夫をねぎらいながら2人で老後を過ごしていきたいです」と笑顔で語ってくれました。

家族経営だからこそ「共に下す」結論の出し方を

廃業について家族に相談するということは、家族に決断をゆだねるという意味ではありません。あくまでも経営者としての事業主の判断が必要ですが、家族経営だからこそ、この先も一緒にすごく人とは適切なタイミングで情報を共有し、適切なタイミングで意見をもらうことが大切かもしれません。口頭やスマートフォンのメッセンジャーで結論だけ伝えられた場合の家族の気持ちを考えると、この先の長い人生でも共に過ごす家族のこと考えた伝え方を考えてもよいかもしれませんね。

 エマニャン

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円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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