中小企業の社長が廃業後に考えるセカンドキャリア

円満廃業ドットコム:中小企業の社長が廃業後に考えるセカンドキャリア

会社をたたんだあとに何をするのか―。廃業・清算を考える経営者は、その先のことも考えるでしょう。中小企業の社長としてのあなたの経験は、セカンドキャリアにおいてどのように役立てることができるのでしょうか。社員として別の会社で働く以外の選択肢を考えてみます。

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社長のセカンドキャリアの人気は顧問業

社長としての経験を欲している企業に、自分の経験を買ってもらう方法として顧問となる方法があります。顧問を紹介するサービスがあり、そこに登録することで、顧問を探している企業とマッチングしてもらうことができます。アドバイザーや社外取締役としての役割を期待されることもあります。

廃業した経験は必ずしもネガティブではありません。成功経験だけでなく、失敗経験もとても価値のあるものです(廃業が成功か失敗かについてはここでは議論しないことにします)。気を付けるべきは、「上から目線」や、自分の成功事例に固執したりすることです。相手はあなたの経験を買っているのですから、あなたよりも年下かもしれません。年齢にかかわらず敬意をもって接し、低姿勢であることが求められるでしょう。

自分の腕を信じてフリーランスになるセカンドキャリア

従業員を抱えるつもりはないけれども、自分の力をもう一度試したい場合、フリーランスとして働く方法もあります。前述した顧問業もフリーランスの一つの形態ですが、現場に戻って自分が手を動かすことをフリーランスとしてやる方法です。実務をやりたい人には良い選択肢でしょう。

フリーランスは自分の力をふんだんに生かして多く稼ぐことも、のんびりとやることもできます。自分の好きな時に、顧客も選びながら、自分のペースで仕事をすることができます。自分のできることを考え、それを家でできるスタイルが見つかれば、自分の体力とも相談しながら末永く続けられるかもしれません。

個人で会社を買う選択肢も(M&A)

会社を廃業・清算した際に、株主として戻されたお金をもとに、自分で会社を買うということもあります。ふたたび会社のオーナーとして返り咲くことができますが、そこには注意も必要です。

食品の卸売り事業を廃業した寺山雅之さん(仮名)は、会社をたたんだのを機に妻とともに地方都市に移住しました。しばらく悠々自適な生活をしていましたが、もう一度ビジネスをやりたくなってきました。移住先で仲良くなった和菓子屋さんが廃業を考えていることを聞き、個人で300万円の価格で買収したのです。

「もともと、卸売りの事業をやっていたため、今度は一般消費者を相手にしたビジネスをやりたいとの思いが出てきました。家でダラダラしているのも飽きてきた頃でした」と寺山さんは言います。しかし、オーナーとして売り上げを軌道に乗せようと、いろいろと手を打ちますが空回りしてしまいます。

「いま思えば、現場を知らずにあれこれと口を出したのが良くなかったと思います。パート従業員が次々と辞めていってしまい、シフトが埋まらなくなってしまいました。しかたなく自分で店頭に立つことが増え、オーナーが無償で労働するという状態になってしまいました」と寺山さんは振り返りました。

このままではまずいと考えた寺山さんは、これまでのやり方を反省し、辞めていったパート従業員に頭を下げて戻ってきてもらいました。業界の素人として聞く姿勢に徹し、彼らにとって役に立つようにふるまいを変更することで、お店の雰囲気も良くなり、かつての売り上げに戻りつつあります。

「自分の経験をもとに、自分が立て直して見せると意気込みすぎました。パートさんたちのことを考えていなかったと思います」と寺山さんは振り返りました。今は和菓子屋オーナーとして満足のいくセカンドキャリアを歩めているようです。

できることを整理し、謙虚さも忘れずに

経営者のセカンドキャリアはこれからの大廃業時代にますます多くの人たちの悩みとなるでしょう。人生100年時代にセカンドキャリアの選び方はとても重要です。あなたの価値観に沿ってどうしたいか考え、スキルを整理し、新しいキャリア人生を歩んでいきたいものです。

 エマニャン

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円満廃業ドットコム 編集部

会社経営において、終わり方に迷いを持たれる経営者は数多くいらっしゃいます。廃業にまつわる「何をすれば良い」「本当に廃業すべきか分からない」といった様々な不安をクリアにし、これまで努力されてきた経営者が晴れやかなネクストキャリアに進めるように後押しします。

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