「会社をたたむかどうか悩んでいる」というお話をお伺いすることがよくあります。事業承継か廃業かを悩まれていたり、わかっていても廃業に踏み切れなくて悩んでいたり、など、ご事情は人それぞれでしょう。悩むことは、誰にでも起こり得ることですが、それだけでは問題を解決することはできません。一方、考えることは、問題をより深く理解し、より創造的な解決策を見つけるために必要なステップです。
「悩む」とはどういう状態か
悩むことには意味がないと言い切る人もいます。悩むことは問題解決に向かって進まないどころか、脳内で問題を大きくさせてしまい、事態の解決からより遠のいてしまう悪い面があります。悩むとはどういう状態か考えてみましょう。
悩むとは「思考が堂々巡りで、自分が感情に支配されてしまっている」のことです。「会社をどうしようかわからない」という気持ちだけがぐるぐる回っている場合や、「売り上げが減少傾向である」という事実ばかりを思い浮かべて、暗い気持ちに支配されているという状態です。
- 頭の中で問題(現象)を漠然とイメージしている
- マイナスの感情に向き合っている。解決策を考えていない
- 問題を頭の中で繰り返し再生し、マイナスの感情が余計に増幅している
- 自分でできることを考えられていない
上記の4つ目の「自分でできることを考えられていない」とは、自分では変えられない外部の要因ばかりを頭に再生しているということです。自分では変えられないものを想像して悩んでいても、先に進むことはできません。
「考える」とはどういう状態か
しかし、考えることは、感情に左右されずに問題について客観的に考え、可能な解決策を探ることができます。情報を収集し、分析し、判断し、問題を解決するためのアイデアを生成するということもできます。困難を解決するための道筋を明らかにしようとすることが「考える」ということです。
- 問題と正しく理解し、解決すべきことがらを把握している
- ゴールまでの道筋を分解して明確にしている
- 負の感情に向き合うのではなく、具体的解決策を模索している
- 自分でできることを中心に考え、課題解決を自分でコントロールしている
自分でできることを中心に考えるとは、「考えても仕方ないことを考えない」ということでもあります。「景気が悪い」と悩んでも仕方ありません。しかし、「景気に左右されにくい収益構造」を考えることはできます。「景気に左右されにくい収益構造」のために、「優秀な社員が育たない」と悩んでも仕方ありません。しかし、「優秀な社員を育てる方法」を考えることはできます。
悩んでいる状態というのは、一見。考えているようには見えます。しかし、実は同じ現象をぐるぐる想像しているだけで問題の解決には向かっていません。
考えることは、時間がかかるかもしれませんが、問題を根本的に解決することができます。一方、悩むことは、問題をより深刻に見せるだけでなく、解決策を見つけるのを遅らせる可能性があります。
「悩む」のをやめて「考える」ための方法
考えるためのコツを紹介します。まずは脳内で考えず、書き出してみるのがおすすめです。悩んでいるときって、ずっと脳内で再生している状態が多くありませんか?手を動かして問題を分解するためにも、メモとして書き出してみましょう。
問題や解決したいこと、状況を書き出した中から、自分が解決できることを探します。そしてそれを確実に実行しましょう。これを繰り返していくと、悩むクセから脱却し、考えるクセが身についてくるでしょう。
悩むことは問題を解決するのに役立ちませんが、考えることは問題を理解し、創造的な解決策を見つけるために必要です。問題に直面した場合は、冷静に考えて、可能な解決策を探してみることをお勧めします。