セカンドキャリアへの計画は、早くから始めるにこしたことはありません。廃業する前からしっかりと計画・準備をすることで安心して次のステップに進めます。具体的な準備期間は廃業の5年くらい前から考え出すのがベストとされています。
「5年も?!」と思われる方も多いかと思いますが、セカンドキャリアにうつり、すぐに順調に走り出せるとは限りません。しっかりと計画し、お金の余裕も持っておきたいところです。
廃業するにあたり、どのくらいの資産が手元に残るのかも次のステップに進む上では重要なポイントとなってきます。
小さな研修会社を営んでいた浜崎庸次郎さん(65歳・仮名)は、2年前、右上だった社員が退職したとき次の段階について考え始めました。
「いずれは故郷に帰り、地元に貢献したい」という思いから”65歳”を目標として計画・準備を始め、65歳の誕生日に故郷に移り住み、セカンドキャリアを歩み始めました。
廃業のきっかけは人それぞれですが、セカンドキャリアを考えるうえで十分な時間が必要であることはみな共通です。浜崎さんの場合は「5年後の65歳の誕生日」という明確な期限を設けたことがセカンドキャリアに進むきっかけになったように思います。
家計の見直し
浜崎さんは準備の1つとしてファイナンシャル・プランナーとの面談を行いました。
誰しも経済的なストレスは避けたいものです。「経営者」でなくなることで経済的に生活が一変してしまっては元も子もありません。
廃業後の自分の生活、老後の暮らし、さまざまな角度から相談し、浜崎さんは社会人大学に入学する決意をしました。社会人がセカンドキャリアを歩むための準備ができる4ヶ月間のプログラムです。
このプログラムは、大人が次の章を思い描き、準備するのを助けてくれます。浜崎さんはフルタイムで働きながら、地域社会に貢献する複数の非営利団体で働くという目標を達成し、このプログラムを終え、廃業手続きを開始しました。
地域社会に貢献したいという思いはとても素晴らしいことですが、経済的な余裕ももちろん必要です。借金があるのに低賃金の仕事を選んでしまうことのないように、ある程度お金の部分も考えていく必要があります。コンビニに行くのをやめる、禁煙する、お酒を控える、外で飲み物は買わないなど、小さな節約も大切です。
経営者であれば、再起業という選択肢もあるかもしれません。その際には、なるべく退職金を使わず、新事業を立ち上げる資金を調達する、ここが廃業後最初に訪れる課題になります。
今はテクノロジーによって起業がより効率的になり自己資金を限りなく抑えて起業することも十分可能な時代ですので、スモールスタートも視野に入れていきましょう。
収入源をつくる
セカンドキャリアを歩む上で、収入減を確保することはとても重要です。浜崎さんは「すぐに軌道にはのらないだろう」と判断し、自分の非営利団体の仕事のほかにも小さな会社の顧問になるという仕事を選びました。
顧問料はわずかですが、自分の時間で仕事できるのはメリットだと話してくれました。
- 自分の強み、スキル、経験を活かす
- 地域、オンラインの人とのつながりを大切にする
- 無理なく働ける環境を整える
セカンドキャリアの成功事例
廃業後のセカンドキャリアとして成功した方々の事例を紹介します。
《成功事例①:編み物教室》
夫婦で会社を経営していた佐藤みどりさん(67歳・仮名)は、廃業後に長年の趣味である編み物を活かし、自宅で編み物教室を開設しました。
地元のコミュニティから評判が広がり、現在は週3回、生徒が集まる教室に成長。編み物教室で得た収益は彼女の年金収入を補完し、充実した引退生活を送っています。
《成功事例②:オンライン英会話講師》
保険代理店業を廃業した松本孝一さん(62歳・仮名)は、退職後の時間を活用して英語力を磨き、オンライン英会話講師として働き始めました。
自分の経営者としてのスキルを活かし、ビジネスにも対応する英語を教えることで多くの生徒から支持を得ています。オンラインでの働き方は自由な時間管理が可能で、ストレスフリーな働き方が実現しました。
《成功事例➂:ブログ運営》
伝統工芸の事業を廃業した坂本元さん(60歳・仮名)は、50年以上の職人としての経験を活かし、職人技を伝えるブログを立ち上げました。
技術やノウハウをわかりやすく解説し、多くのフォロワーが集まりました。広告収入や協賛企業からの依頼が増え、引退後の収入源となっています。
ゆっくりと進める
セカンドキャリアに成功するかしないかは、十分な計画や準備にかかっているといっても過言ではありません。最初から簡単に成功する人など一握りで、多くの人は試行錯誤を繰り返し、ゆっくりと地道に自分の目標に向かって歩んでいます。
事業を加速させたい想いはだれしも同じですが、セカンドキャリアを成功させるコツは、最初は小さく、少しずつ大きくしていくことが大切です。また、自分のやりたいこと、叶えたい夢が本当に自分の思い描いていることなのか、準備期間にしっかり見つめ直すことも大切です。
廃業して第二の人生を歩むことは決して簡単なことではないかもしれません。しかし、第二の人生という新しいスタートを切ることは楽しみでもあります。その過程を楽しみながら、より良い人生を歩んでいきましょう+。